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株式会社田中電気研究所(企業の魅力発信事業 インタビュー動画・記事)

株式会社田中電気研究所(那須烏山市宮原32-1)製造業

株式会社田中電気研究所は那須烏山市に工場を構え、ダスト濃度計をはじめとする環境関連製品や、災害支援に関する製品の開発製造等を通して「環境の安全・安心・信頼を測定数値化する」という価値を社会に生み出し続けています。
今回は代表取締役社長の田中敏文さんにお話を伺いました。

(1)田中電気

 

自己紹介をお願いします。

田中敏文と申します。出身は東京都世田谷区で、現在も世田谷区に住みながら、週に1日ほど那須烏山市で仕事をしています。世田谷というと高級住宅地をイメージする方もいるかと思いますが、私の子供の頃は田園が広がっていて、那須烏山市と変わりない風景の中で育ちました。
平成4年から田中電気研究所の社長を務めています。

(2)田中電気

若い頃はウインドサーフィン、現在は週末は3時間ほどかけてウォーキングするのが趣味と話す田中社長。

 

元々東京で発足した会社と伺いましたが、今日に至る変遷を教えてください。

田中電気研究所は昭和24年に通産省(現在の経済産業省)の研究職だった祖父が創業しました。当時は電力メーターの基準器を作っていました。2代目である私の父の代になりますと、大手電気機器メーカーの放射線測定機開発のプロジェクトに参加し、現在も烏山工場のベースの事業となっています。しかし当時のわが社はあくまで下請けとして製造開発に携わる立場にとどまっていました。

1970年代頃になると公害が問題視されるようになり、研究所と銘打つわが社のノウハウをもって環境対策で社会の役に立ちたいという想いが強くなっていきます。そんな折に煙突からの粉塵を測定するダスト濃度計開発のプロジェクトに参加することになります。
当初は他企業の製品として開発しましたが、のちに自社商品として営業権を取得し、性能向上に向けて試行錯誤した末に現在の品質に至りました。
下請けとしての仕事をしながら最新の製造技術を習得し、その技術をもって高品質な自社製品を開発するという経営スタイルで、現在では北海道から沖縄に至る全国の電力会社と取引をしています。

(3)田中電気

工業用ガス検知器や半導体の製造のほか、卵のパックを留める超音波溶接機など様々な製品で私たちの生活に結び付いています。

 

三代に亘り、環境問題の改善に寄与するという強い想いをもって取り組まれてきたことが分かりました。
そんな田中電気研究所が大切にしている理念について教えてください。

わが社の社是は「誠和魂」です。
受け持った仕事を成し遂げる誠実さ、仲間とのチームワーク、困難を乗り越える精神をもって仕事に臨む姿勢を従業員一同が心に刻んで職務に当たっています。
経営方針については故事に倣い「止足の戒め(しそくのいましめ)」と「狡兎三窟(こうとさんくつ)」の二つを掲げています。
優れた製品を作り業績を上げたとしても、自分の会社だけ儲かればよいという考え方では同業者や地域から妬まれて長続きしない。
そんな想いから仕事は独り占めせずに、他の企業にお願いしながら取り組むようにしています。そうすることによって、わが社が苦しい状況の時も周りと助け合いながら切り抜けていくことができます。この考えを「止足の戒め」として大切にしています。
例えば地方でのお仕事の際に地元の商社さんと一緒に事業に取り組むことで、仕事の何割かを商社さんに引き受けて頂く。わが社としては一緒に取り組む商社さんの数だけ全国にネットワークを広げることができています。
二つ目の「狡兎三窟」ですが、賢い兎は外敵から逃げるための穴を三つ掘るという故事に倣い、リスク分散を念頭に置いた事業展開に取り組んでいます。わが社のベース事業の一つは放射線測定器ですが、原発が停止している昨今この商品だけに依存していると会社がつぶれてしまうかもしれない。そうならないために複数の分野の仕事を受け持ち、経営上のリスクを最小限に抑えるよう努めています。

(4)田中電気

従業員との顔の見える関係も重視しています。

 

経営理念を実践して事業展開をしているのがお話からも伝わってきます。ところで東日本大震災以降、日本では持続可能な社会づくりや災害への意識が高まっていますが、どのような影響がありましたか。

原発事故後は緊急事態ということで、放射線測定器を大増産せざるを得ない状況になり、わが社にも注文が殺到することになりました。
那須烏山市でも震度5強の揺れがありましたが、災害直後も問題なく操業できたのは不幸中の幸いでした。万が一工場が損壊していたら、日本の放射線測定器の供給に大きな支障をきたしたことでしょう。
また、放射線測定機の増産第1号を栃木県産業振興センターに納品し、栃木県から出荷する工業製品の検査を円滑に行えるようサポートしたこともありました。この取り組みによって福田富一栃木県知事から感謝のお言葉と併せて、「生きることは挑戦すること」という色紙を頂けたのも思い出深く思っています。

(5)田中電気

 

原発事故で不安な生活を送っていた裏で、貴社の大変な努力があったのですね。

ただ、東日本大震災直後は関心が高かったものが、現在は落ち着いてきているようです。災害は忘れた頃にやってくるので、日ごろから防災意識を高めてほしいと思います。

(6)田中電気

田中電気研究所が開発した避難誘導塔

 

烏山工場の従業員は地元採用100%と伺っていますが、職場の雰囲気や従業員育成について教えてください。

年齢は若者だと20代が数名、上は60代までで約30名弱が烏山工場で働いています。最近取締役営業技術部長に37歳の社員を任命するなど、徐々に若返りするとともに、女性の割合も増えてきていると思います。
一方で従業員に対する教育は怠らないようにしています。外部講師を迎えて毎年行う選抜者研修は、参加者を変えながら今年で10年目を数えます。課長から若手まで集まって、無駄を洗い出して収益化を図る方策を検討したりしています。

(7)田中電気

また、先輩が指導しながら国家資格取得を目指す様子も見受けられます。勤務時間を利用して勉強してもらい、受験料も会社で負担。合格したら技能手当を付けるようにしているので、現場からは満足されていると思っています。

 

従業員同士が信頼関係を築きながらレベルアップを図る環境が整っているのは働く側としては嬉しいですね。経営者として長年取り組んできた中で嬉しかったエピソードはありますか?

東日本大震災ののち、取引先である宮城県石巻市の製紙工場を社員旅行と合わせて視察することがありました。津波で大変な被害を受けたそうですが、無事復旧したとの知らせの後に訪問し、わが社の製品が稼働している様子を見学させていただきました。

(8)田中電気

自社製品が稼働している現場に案内されたとき、それ見た従業員が「わが子よ」と言って製品に抱き付いたんです。
従業員が自分たちのものづくりに誇りを持ち、製品を愛してくれていることを再認識して非常に嬉しくなりました。経営者というのは相談相手も少なく大変なことの連続ですが、このような場面や、お客様から製品を高く評価いただいたときは喜びを感じます。

 

経営者としては従業員の方の行動はたまらなく嬉しかったことと思います。そんな仲間たちと、今後の会社をどのように成長させていきたいか教えてください。

全売り上げのうち、自社製品の売り上げ割合を現在の3割弱から5割に押し上げていきたいと思っています。新製品の開発の数や JIS 規格取得実績など、わが社にしかできないことを活かして成長していくつもりです。

(9)田中電気

また、ダスト濃度計の優良企業は世界中に数多くありますが、ドイツやイギリスにある大手3社に次いで第4位になりたいという目標も持っています。
そのためにも、ものづくりを通して社会に貢献したいという人材を積極的に採用していきたいと思っています。

 

最後に若者へのメッセージをお願いします。

福田知事からも「生きることは挑戦すること」というメッセージを頂いたことがありますが、私や知事のような年齢でも日夜チャレンジをし続けていますので、若いときになんでも挑戦してほしいです。
何に挑戦していいか分からない方も多いかと思いますが、何気なく過ごす日常生活の中にある物事に興味を持つ習慣をつけることが大切です。漠然と過ごしている人では見過ごしてしまうようなことでも興味を持つ習慣を10代の頃から持てれば、非常に面白い人生が開けると思いますよ。

(10)田中電気

 

田中社長に加えて、那須烏山市に移住し、子育てと仕事を両立させながら現場で活躍する五月女さんにもお話を伺いました。

(11)田中電気

 

自己紹介をお願いします。

五月女理恵と申します。結婚に合わせて那須烏山市に移住した折に就職し17年目になります。現在はプリント基板製造課に所属しています。
もともとは美容師をしていたのですが、子育てとの両立の難しさを感じ、移住後は別の業種での転職を考えたんです。
田中電気研究所では面接の時から「お子さんのいる方も沢山働いていますよ」と優しく声をかけて頂き、就職を決意しました。 実際私生活とのバランスが非常に取りやすいので助かっています。

 

お仕事で苦労されたことはありますか?

最初の頃は作業がとても難しくて覚えるのが大変だと思いました。ですが一つ一つ丁寧に教えて頂けるし、上司の進捗管理や作業マニュアルも充実しているので安心して取り組めます。毎日やることが違うのでやりがいと面白さもあります。
何よりプリント基板が綺麗に仕上がったときの達成感と製品への愛情を感じることができ、「この製品がお客様の手元に届くんだ」と思うと誇らしく思えるようになりました。

(12)田中電気

 

自分の作った仕事に誇りを持てるのは素晴らしいですね。学生さんに伝えたいことはありますか?

いろんな人と会って話して、価値観を吸収してほしいです。私は人と関わりながら綺麗になるお手伝いがしたくて最初は美容師になりました。ですが自分は何がやりたいのか、何が得意なのかは悩むことがあると思います。
様々な働き方をしている人と話す中で自分のことがだんだん見えてくると思いますので、たくさんの人と接してほしいです。

 

田中社長だけでなく、従業員の五月女さんも自社製品について活き活きと語る様子が印象的でした。
お忙しい中貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。

 

今回取材を受け入れてくださった、株式会社田中電気研究所さんの詳細はこちら
URL:https://www.tanaka-e-lab.jp/

 

令和3年3月取材

問い合わせ先

このページに関するお問い合わせは商工観光課 商工振興グループです。

烏山庁舎1階 〒321-0692 栃木県那須烏山市中央1-1-1

電話番号:0287-83-1115 ファクス番号:0287-83-1142

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