中村技研株式会社(企業の魅力発信事業 インタビュー動画・記事)
中村技研株式会社(那須烏山市上境860)製造業
今回は那須烏山市の上境に本社を構え、自動車部品をはじめとする精密加工の製造分野の第一線で活躍する中村技研株式会社(2020年に株式会社中村製作所から社名変更)代表取締役社長の中村彰太郎様にお話を伺いました。
経営者になるまでの生い立ちについて聞かせてください。
4歳の頃、太平洋戦争の際の家族での疎開がきっかけで神奈川県川崎市から烏山に引っ越してきました。
中学まで地元烏山の学校で学び、高校は宇都宮、大学は仙台に進学。そして二年ほど大手民間企業で働いたのちに25歳で後継ぎとして旧烏山町に戻りました。
幼少から烏山で過ごされたのですね。
そうですね。
地元では烏山城跡と毘沙門山、落石の紅葉の景色などが好きです。
烏山城築城600年を迎えるにあたり、有志からなる八咫烏の会の活動の一環で案内板を立てたほか、中村技研から毘沙門天像を寄贈しています。
地元の仲間とこういった活動に取り組むことも私の喜びです。
社会活動にも熱心に取り組まれていると常々うかがっています。そんな中村社長はどのような幼年期・青年期を過ごしたのでしょうか?
子どもの頃は両親の背中から多くを学びました。
父は町工場の職人を絵に描いたような人物で、誠心誠意を貫く姿勢が魅力的な人物でした。
両親がお見合いしたとき、母は父の職人らしい節くれ立った手を見て、ひたむきに仕事をする人柄を感じ取り「働き者のこの人になら自分の人生を託してもいい」と思ったと話していました。
そんな父も、日本が戦争に負けたことで仕事がゼロになった時期が3年程続いたので、生活はとても苦しかったんです。
そんな状況の家計を守るため、母は畑を借り、採れたものを東京に売りに行っており、母に連れられて一緒に出かけたのを覚えています。母の偉いところは東京上野で出来た売り上げを元手に蒲田で海苔を買い、烏山の問屋で売るといったことを通して、畑で取れたものを原資に付加価値を高めていくようなことをしていた点です。
そんな母の姿から物を売るということについて身をもって学ぶことができ、現在の事業のやり方の基礎になっています。
学生生活はというと、中学校では柔道部の主将をしていたほか、陸上やハンドボールもやっており、ハンドボールは県大会で準優勝で、最優秀選手にも選ばれたのは良い思い出です。
そんな中でも母の背中を見ていたので、学業にも励まなければという想いが強く、運動だけではなく勉学にも励みました。
私が学んだ宇都宮高校は校是として4つの精神を掲げています。その中でも
お互いに信頼・尊敬しあう「和敬信愛」、進んで問題解決に当たり、徹底的に究明すべきという「進取究明」
この2つは現在の経営にかける想いの源泉となっています。高校時代の最大の学びはこの言葉に出会えたことですね。
ご両親と学び舎から得た経験が今の中村社長を形成していると感じました。
次に会社のことについて教えていただきたいのですが、中村技研様はどんな会社でしょうか?
“超精密加工のパイオニア”です。
自動車部品を中心に、建設機械、トラックのエンジン部品を作る製造業を行っています。
最大の特徴は小型精密部品に特化した製品作りを行っていることです。
大型部品と違い、様々な方法で世界に輸出することができるという利点も持っています。
他社には真似できない高付加価値の超精密部品が私たちの最大の強みと言えるでしょう。
那須烏山市上境の本社工場では144名の従業員が働いています。
従業員も多いほか、国内外に生産拠点を持って活躍されていますよね。
海外では大連とタイにそれぞれ拠点を持つほか、芳賀工業団地にも新たに宇都宮工場が稼働しています。総勢で945名程の従業員がおります。
76歳で現役で活躍する従業員もいますが、毎年3名ほどの高卒の従業員を迎えているので、若い従業員も多いですよ。
赤字にならない健全経営。そして従業員が健康であること。この2つを大切にして経営を行っていると優しい表情で語ってくださいました。
従業員との関わりで意識していることはありますか?
従業員と現場で話すことを大切にしています。
従業員の背中を見れば、元気があるときとそうでないときの違いは分かるものです。夫婦喧嘩など、仕事以外のことについて従業員の話を聞くこともありますよ。
また、従業員同士で仲が良いことも大切ですが、研鑽し合う環境が重要と考えています。
芋を洗うとお互いをこすり合わせることで磨かれるように、研鑽して高めあうことを、二宮尊徳も“芋こじ”と言って大切にしていたと言われ、わが社でもこの精神を取り入れています。
本社工場には二宮尊徳像とともに中村社長の報徳仕法を重んじる想いがつづられています。
若者へのメッセージをお聞かせください。
一番伝えたいのは良く学びよく遊んでほしいということです。その中で良い友人関係を築いてほしいです。
そして冒頭にも触れた進取究明ですね。人間あとになってから「もっと学んでおけばよかった。経験しておけばよかった」といったことを感じることの連続です。後悔の無いよう学生生活を過ごしてほしいです。
そして中村技研に興味を持ってくれた方には、共に進取究明に励む仲間が沢山いるということも覚えておいていただきたいです。
また、日本のICT教育は世界と比べて遅れているように感じています。是非パソコンやタブレットといったものにも慣れ親しみ、いろんなものに触れて視野を広げていただきたいです。
那須烏山市を代表するベテラン経営者でありながら、現場のことを誰よりも把握し、家族のように従業員と向き合う中村社長の想いに胸が熱くなる思いでした。
中村社長の他、第一製作グループの佐藤光成様からもお話を頂きました。
「言いたいことはまとまってるのに、いざインタビューされると難しいですね」とはにかみながら終始明るくお話を聞かせてくださいました。
それでは佐藤様の自己紹介をお願いします。
佐藤光成です。第一制作グループのチームリーダーを務めています。
那須烏山市出身で、子どもの頃から友人たちと那珂川で釣りをしたり、山で虫を取ったりするのが好きでした。今も昔も地元の自然が大好きです。
中学校では野球部、高校ではバスケットボール部に所属し、遊ぶ時間も惜しんで部活動に打ち込みました。
学生時代の経験を通して心身ともに鍛えられ、礼儀作法を大切にする習慣が身についたので、社会人になった今でも活きていると感じますね。
中村技研には20歳の時に就職しました。専門学校で学んだ医療事務分野への就職も考えましたが、元々新しい分野にチャレンジすることが好きで、知識・経験ゼロからの挑戦も面白いと感じて製造業の世界に飛び込みました。
就職してみて、会社の印象はどうでしたか?
社会に出たばかりの頃、嫌な上司先輩がいたら嫌だなと不安でした。
しかし、注意や指導を受ける際も聞き手が強いストレスを感じるような話し方をする方がいなかったので、こういう会社で働きたいなというイメージにはまる良い会社だなと感じました。
従業員同士でコミュニケーションを取るときに、上司もフランクな話を交えながら話せる雰囲気を作ってくれるので気持ちよく仕事ができる環境だと思っています。
佐藤様の仕事について教えてください。
自動車のブレーキ部品の製造部門に携わっています。私一人でも1日に5,000個程の部品を作っています。
規格に沿う品質の高いものを作れるよう責任感を持って取り組んでいます。
チームリーダーであるため、日々のミーティングなどの他にも悩みなどを抱えていそうな従業員には意識的に声掛けをするよう努めています。
先端技術で未来を拓くことを理念と掲げていますが、仕事をしていて大変だと感じることはありますか?
自分のイメージする製品作りができず苦しい思いをすることはあります。
しかし、自分で研究して納得のいくものを作り上げることができた時は喜びを感じますね。
私はチームリーダーという立場なので、部下が同じように壁にぶつかっているときは相談に乗ることもあります。助言指導をする中で自身の成長に結び付くこともあるのでお互いに得るものは大きいです。
皆で力を合わせて困難を乗り越えていくことを実感できる職場だと思います。
全力で挑戦されているからこそ、達成感もひとしおですね。お話を聞いていると、従業員同士の信頼関係もしっかりできている印象を受けます。
休日は、趣味の合う同僚と釣りやゴルフに行って親睦を深めることもあるそうです。
これから社会人になる若者へのメッセージをお願いします。
学生時代って、勉強が楽しいという気持ちより、学校で好きな仲間と会えるのが楽しくて通っていた部分もあると思うんです。仕事も同じで会社の雰囲気が好きだからここで働きたいと思えるかがとても重要です。
これから入ってくる若者の上司として従業員同士のコミュニケーションを大切にしながら、会社に行くことが好きだと思ってもらえる職場づくりに努めたいと思っているので、学生さんには中村技研に興味を持って関わってもらえたらと思っています。
事業を通して社会への価値創出にかける情熱と従業員を幸せにすることに努める温かい雰囲気を感じることができました。
中村社長、佐藤様、お忙しい中貴重なお話をありがとうございました!
今回取材した、中村技研株式会社様の詳細はこちら
URL:https://nakamura-machinery.jp/index.html
令和3年10月取材
問い合わせ先
このページに関するお問い合わせは商工観光課 商工振興グループです。
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電話番号:0287-83-1115 ファクス番号:0287-83-1142
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- 2022年8月9日
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